コラム

マインドフルネスの慢性疼痛への効果

慢性疼痛に対して、マインドフルネス(マインドフルネス・ストレス低減法:MBCT)の効果を、fMRIによる脳画像解析を用いて科学的に検証した研究があります。1)

まず、fMRIで慢性痛患者の脳を調べると、共通して、特定の神経核において灰白質の体積/密度の低下が生じていることが報告されています。特に、怯え、恐怖、不安などの負情動が大きい場合、背外側前頭皮質(dlPFC)、吻側前帯状皮質(rACC)/眼窩前頭皮質(OFC)、後頭頂皮質(PPC)、下前頭回(IFG)、第1次/2次感覚野(S1/S2)などで灰白質の体積/密度が著しく低下していることが明らかとなっています。

このような慢性痛患者(n=11)が、MBCT(10分間の注意集中)を11週続けたところ、扁桃体の過剰な活動が抑えられ、不安、怯え、恐怖、などの負のスパイラルから解放されました。その結果として、破局的思考スコアが減少し、痛みが軽減したと報告されています。

さらに、主観的な痛みの軽減に伴い、各部位の灰白質の体積/密度は、健常者とほぼ同じ程度にまで回復したとされます。

つまり、中枢性疼痛抑制系が活性化し、痛みの再評価と体性感覚の変化が起きたものと解釈することができ、マインドフルネスが慢性疼痛に対して、痛みの軽減に有効であることが脳科学的にも示されています。

MBCTは特に、慢性疼痛の中でも、非器質性の慢性痛に対して有効であると考えます。

 

1)Seminowicz DA et al : Cognitive-behavioral therapy increases prefrontal cortex gray matter in patients with chronic pain. J Pain 14:1573-84, 2013

マインドフルネスの慢性疼痛への効果
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