近年、うつ病治療の領域において、非常に注目されているのがBDNF(脳由来神経栄養因子)です。BDNFは神経細胞の生存・成長・シナプスの機能亢進などの神経細胞の成長を調節する物質ということが明らかとなっており、BDNFが不足すると、脳細胞が萎縮・成長不全に陥ると考えられており、脳細胞の再生や成長に必須の物質であると言えます。
最近の研究によると、未治療のうつ病患者の血液中BDNF濃度を測定したところ、健常者のBDNF濃度と比較して有意に減少していることがわかったとする報告や、血液中BDNF濃度とうつ症状の重症度との間に負の相関関係が認められたとする報告、さらに、抗うつ薬によって症状が改善する時、それに伴って血液中BDNF濃度が増加していることが認められたとする報告などがあり、うつ病とBDNFの関連を示唆する研究が数多く発表されています。