治療抵抗性うつ病の患者に対して、ケタミン療法がECT(電気けいれん療法)と比較して非劣性であることを示す論文報告のご紹介です。
Ketamine versus ECT for Nonpsychotic Treatment-Resistant Major Depression
(精神病症状を伴わない治療抵抗性大うつ病に対するケタミンと電気痙攣療法との比較)
奏効率(治療に反応した割合)
・ケタミン群:55.4%
・ECT群:41.2%
であり、
差:+14.2%(ケタミンのほうが高い)
統計的に有意(信頼区間が0をまたがない)という結果となりました。
しかし、この試験の目的は「ケタミンが劣っていないこと(非劣性)」を証明することであり、優越性(ECTより明らかに効果が上)」を検証する設計ではありません。
「新しい治療法(ケタミン)は、標準治療(ECT)に比べて劣っていない」ことを証明するための試験設計として、
この研究では、非劣性マージンを-10%と設定しています。
→ つまり、「ケタミンがECTより10%以上劣っていなければOK」という判断基準です。
実際にはケタミンのほうが14.2%高い反応率だったので、
「ケタミンはECTよりも劣っていない」
むしろ「ケタミンの方がやや良い可能性もある」という結果となっています。
詳細は下記をご覧ください。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2302399