コラム

視床下部の働き

視床下部は、外部環境の変化などの外界情報を集め、それと同時に体内情報を集めています。これらの情報を、収集→生理→分析→判断→統合し、恒常性(ホメオスターシス)を維持するために抹消に指令を送り、ココロとカラダの不調に深く関与する非常に重要な役割を果たす器官です。

恒常性(ホメオスターシス)とは、生物が生命を維持するために、外界の変化に適応して、体内の環境を一定に保つ生理機能のことです。

外界情報としては、視覚、聴覚、嗅覚、味覚などの特殊感覚がそれぞれの感覚器官を通し、また、皮膚、筋、関節からの体性感覚などは神経を介してまず、脳の視床に伝えられ、さらに視床から大脳皮質、大脳辺縁系へと伝わっていきます。

大脳辺縁系においては、扁桃体に大脳皮質から種々の感覚入力が入り、同じく大脳辺縁系の海馬にある記憶情報と照合され、感覚情報に情動的な価値評価がなされます。
この情動的情報は、快、喜び、満足、などが副交感神経刺激として、不快、怒り、悲しみ、不安、心配、恐怖などが交感神経刺激として、視床下部の自律神経中枢に入っていきます。

体内情報としては、神経系では、空腹感、満腹感、排尿感、便意などが、迷走神経により延髄の孤束核を通って視床下部に送られます。また、内臓痛などは、主に交感神経によって視床下部に伝えられます。体内情報としては、もう一つ液性系を介して、代謝産物やホルモン、サイトカイン、水分量、イオン濃度、浸透圧、湿度の情報を集める系があり、この場合、血液脳関門のない脳室周囲器官などから情報が視床下部に送られます。

視床下部には、このようにして集められた体内外の情報を判断する7つの中枢が存在します。

具体的には
・自律神経中枢
・免疫中枢
・内分泌中枢
・本能中枢
・体温中枢
・体内時計中枢
・代謝制御中枢
です。

その中枢に集められた情報を処理し、自律神経系、免疫系、内分泌系の3系がまずは正常状態を維持できるように調節し、他の4つの中枢も異常を感知すると、3系に最終連絡し、その以上を正すように視床下部より指示が出ます。特に、自律神経中枢は、免疫中枢、内分泌中枢にも指示を出すことから、最高中枢と考えられています。

このように、視床下部は、ココロとカラダのバランスを整える脳の中枢であり、精密なスーパーコンピューターのように働いている大変重要な器官なのです。

視床下部の働き
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