GLP-1(受容体作動薬)とは、血糖値を抑えることで、痩せやすくする医薬品です。クリニックの管理下で体重減少を目指す「医療ダイエット」で使われることもあります。GLP-1は「過度な食事制限や、激しい運動は不要でダイエットが続けられる!」と最近注目を集めています。
しかし、誤った使い方をすると、身体に大きな負担をかけるため注意が必要です。この記事では、GLP-1の危険性や注意点について解説します。
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目次
GLP-1とは?
「GLP-1」はホルモンの1種で、血糖値を下げる働きがあります。GLP-1は私たちの身体の中にもある物質で、食べ物が消化器官に入り、血糖値が上がると分泌されます。「GLP-1受容体作動薬」とは、体の外からGLP-1を補う医薬品です。
また、GLP-1は糖尿病の治療にも用いられます。「医療ダイエットの薬」として認識している人もいますが、本来は糖尿病の患者向けに作られた医薬品なのです。
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GLP-1のダイエット目的は危険?
GLP-1は、近年さまざまな問題を引き起こしており「使用するのは危険なのでは?」という声が上がっています。GLP-1の問題としてよく挙がるのは主に以下の3つです。
通販サイトには、偽物のGLP-1が流通しているため注意が必要です。また、クリニックでGLP-1を購入する場合でも、十分な診察がないまま処方されるケースがあります。さらに、GLP-1は血糖値に作用する医薬品なので、副作用が伴う場合があります。
肥満大国アメリカではGLP-1の供給が不足している!
日本のみでなく「FDA(アメリカ食品医薬品局)」や「EMA(欧州医薬品庁)」から承認を受けた医薬品もあり、GLP-1は世界中で広く使われています。
特に肥満大国のアメリカでは、需要が急拡大しており、現在問題となっています。GLP-1受容体作動薬である「セマグルチド」は、2023年5月にFDAの不足医薬品リストに掲載されています。
セマグルチドが品薄状態となった結果、その代替製品が流通する事態に発展しました。セマグルチドの代替製品の使用後に、有害事象が発生したという報告もされています。
医療機関でGLP-1を購入する場合も注意が必要
GLP-1は「飲むだけで簡単に痩せる」「食事制限・運動なしで-10kg」といったキャッチコピーで広告されることもありますが、安易に始めることはおすすめできません。
特にオンライン診療において、痩身目的などの医薬品購入に関するトラブルが増加しています。具体的には「処方された医薬品で副作用が出た」などがあります。痩身目的で医薬品を処方する場合、医師には施術に伴う副作用や合併症についても丁寧に説明することが求められます。
また、厚生労働省の『オンライン診療の適切な実施に関する指針』では、初診の場合、基礎疾患などの情報が把握できない患者に対しては、8日分以上の処方を行わないこととされています。しかし、実際は基礎疾患の確認が不十分なまま、数ヶ月分処方されているケースもあるようです。
このように、不正にGLP-1が処方されるケースもあるため、処方薬も含めて医師からしっかり説明を受けたうえで契約することが大切です。
新薬「ウゴービ」が保険承認!ダイエットなどを目的に投与してはならない?
2024年2月に「ウゴービ」という肥満症治療薬の販売が開始されました。医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、ウゴービはあくまで「肥満症」の治療薬であること、健康障害の改善が医学的に必要な場合に、適正に使用されるべき医薬品であることを呼びかけています。
ウゴービの適用基準は、ガイドラインによって定められています。自分が該当するかどうかは、医師の診察を受けて確認しましょう。
日本でも厚生労働省が注意喚起!夢の薬ではない
厚生労働省は、GLP-1を美容目的に使うことは思わぬリスクが出る恐れがあると言及しています。万が一、GLP-1をダイエット目的に使い、副作用が出たとしても自己責任です。
国が承認している医薬品を適正に使ったにも関わらず、副作用が出た場合は医療費や年金などの給付が行われます。しかし、ダイエット目的の場合、適正に使用したとは認められないため、これらの救済制度は利用できません。
参考:GLP-1 受容体作動薬及び GIP/GLP-1 受容体作動薬の適正使用について|厚生労働省
安価で入手できる通販などの個人輸入品は注意!
GLP-1は通販や個人輸入で手に入れることもできます。しかし、自己判断でGLP-1を使うのは危険です。投与方法を医師に相談できないため、適切に使用することが難しいためです。
また、GLP-1の偽物も流通しているため、正規品が手に入らない場合もあります。これに加え、副作用が出たときの対処方法が不明である場合もあります。用法用量は外国語で書かれているため、正確に内容を把握することは困難です。クリニックに相談しても、医師や薬剤師は対処方法が分からないため、適切な治療を施せない場合もあるでしょう。
用量が大きいGLP-1も販売されている
GLP-1の中に「リベルサス」という医薬品があります。これは、2型糖尿病治療剤として日本で承認されています。通常は、1日1回7mgを維持用量とし経口投与します。
しかし、通販サイトでは14mgのリベルサスも販売されています。1日1回7mgを4週間以上投与しても効果が不十分な場合は、1日1回14mgに増量することができます。しかし、自己判断で14mgを投与するのはリスクが高いといえるでしょう。
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GLP-1で起こりうるリスクと副作用
GLP-1は、血糖値を下げる作用のある医薬品です。具体的には、以下の副作用があります。
重大な副作用 | 比較的頻度の高い副作用 |
・低血糖症状 ・脱力感 ・高度の空腹感 ・冷汗 ・顔面蒼白 ・動悸 ・振戦 ・頭痛 ・めまい ・嘔気 ・視覚異常 ・急性膵炎 など |
・悪心 ・嘔吐 ・下痢 ・便秘 ・腹痛 など |
比較的頻度の高い副作用
比較的頻度の高い副作用に、悪心や嘔吐、下痢、便秘、腹痛などがあります。GLP-1には、胃腸の動きを抑える作用があるため、消化器官に不快感が出る恐れがあります。基本的には、しばらくすると治まりますが、症状が強い場合は医師に相談しましょう。
低血糖症状
低血糖とは、血糖値が正常範囲以下になる状態を指します。具体的には、血糖値が70mg/dL以下を指すことが多いです。
GLP-1受容体作動薬による低血糖は、通常他の糖尿病治療薬との併用時に起こります。GLP-1受容体作動薬はインスリンの分泌を増加させます。他のインスリン分泌促進薬と併用すると、過剰にインスリンが分泌されることで低血糖が起こる可能性があるのです。
脱力感
GLP-1の作用によって血糖値が急激に下がると、脱力感が生じる場合があります。これにより、脳へのブドウ糖供給が不足し、脱力感や倦怠感が生じる可能性があります。
GLP-1の副作用として、脱力感に加え倦怠感が起こることもあり、これらは約1~5%の割合で生じるとされています。
高度の空腹感
通常、GLP-1には少量の食事で満腹感を得られやすくする効果があります。しかし血糖値が下がることで、脳がエネルギー不足と感じ、一時的に食欲を増進させることがあります。
食事を抜くと、空腹感が増して過食に繋がりやすくなります。GLP-1ダイエットの期間中は決まった時間に、20分以上ゆっくり時間をかけて食べることが重要です。
冷汗
冷や汗は低血糖症状の1つです。血糖値を上げようとして交感神経が興奮し、血管収縮や発汗が促進されます。その結果、冷や汗が起こる可能性があります。
顔面蒼白
顔面蒼白も低血糖症状の1つです。血糖値を上げようとして交感神経が興奮し、血管収縮がおこります。その結果、顔面の血流が減少し、蒼白になる可能性があります。
動悸
動悸も低血糖が原因で起こります。副腎からアドレナリンが放出されると、動悸が起こります。 アドレナリンの刺激によって蓄積されているブドウ糖を放出して、血糖値を上げようとするのです。
振戦
振戦とは、自分の意思とは関係なく手や頭などの体の一部に生じる、リズミカルな震えのことです。筋肉の収縮と弛緩が繰り返されることで起こります。
振戦も低血糖が原因の症状です。交感神経が活性化されることで筋肉の振動が起り、振戦が生じます。
頭痛
頭痛は、GLP-1の投薬開始直後に出やすい症状です。低血糖になると大量のアドレナリンが分泌されます。これにより、血管が収縮し頭痛が生じることがあります。
めまい
めまいも低血糖が原因で起こります。めまいがおきたら、しばらく安静にするといいでしょう。
視覚異常
視力や視野に障害がある状態を「視覚異常」といいます。低血糖によって、目がかすむ、視界が暗くなるなどの症状が起こることがあります。
血糖値が下がると、水晶体の内外でのグルコースとグルコースから変換された物質の濃度差に変化が生じます。これによって水晶体が膨み、物がかすんで見えるなどの症状が起こるのです。
急性膵炎
急性膵炎とは、すい臓におこった急性炎症のことです。具体的な症状には、吐き気や嘔吐、激しい腹痛、激しい背中の痛みがあります。
すい臓は、食べ物の消化と血糖値の調整をする臓器です。GLP-1は、すい臓に作用してインスリンの分泌を促すため、すい臓に炎症が起こる可能性があるのです。
特にGLP-1を使用しないほうがいい人
以上に該当する人は、使用が禁止されることがあります。医薬品や体質によって、使用の可否は異なるため、医師に確認しましょう。
膵炎の既往歴のある人
膵炎の既往歴のある人は、GLP-1を使用できないことがあります。もし、治療期間中に嘔吐を伴う持続的な激しい腹痛など、急性膵炎の初期症状が現れた場合は、使用を中止し、速やかに医師の診断を受ける必要があります。
重度胃不全麻痺等、重度の胃腸障害のある人
重度胃不全麻痺等、重度の胃腸障害のある人は、GLP-1を使用できないことがあります。GLP-1を使用すると、胃腸障害が悪化する恐れがあるためです。また、胃摘出術を受けた人も処方できない場合があります。
なお、治療期間中に胃腸障害が発現した場合は、急性膵炎の可能性を考慮し、必要に応じて画像検査など原因精査を考慮する必要があります。
脳下垂体機能不全または副腎機能不全の人
脳下垂体機能不全とは「下垂体機能低下症」とも呼ばれ、脳にある下垂体の働きが悪くなる症状です。ホルモンが足りなくなることで、さまざまな症状が出ることがあります。また、副腎機能不全とは、副腎から出るホルモンが少なくなってしまう病気のことです。
これらの症状がある人は、低血糖を起こすリスクがあるため、GLP-1が処方できないことがあります。
食生活に異常がある人
具体的には栄養不良状態、飢餓状態、不規則な食事摂取、食事摂取量の不足または衰弱状態にある人が該当します。これらも、低血糖の症状を引き起こすリスクがあるため、処方されないことがあります。
激しい筋肉運動をする人
GLP-1ダイエット中も、適度な運動は必要です。しかし、激しい運動は逆に低血糖を起こしてしまうことがあります。無理のない範囲で有酸素運動を行いましょう。
過度のアルコール摂取者
GLP-1はインスリンに作用するホルモンで、アルコールの代謝はすい臓に大きな負担をかけます。また、空腹の状態でアルコールを飲むと、低血糖になる恐れがあります。
妊婦、授乳婦
妊娠中、授乳中にGLP-1を使うことはできません。糖尿病を治療する場合、インスリン注射で対応することが一般的です。
小児等
7歳以上15歳未満の子どもについては、臨床試験が実施されていません。
高齢者
具体的には65歳以上が対象です。一般的に生理機能が低下していることが多いため、状態を見ながら慎重に投与することが多いです。
副作用を抑えるにはどうすればいい?
副作用を抑えるには以下の方法が有効です。GLP-1を始めようか検討している人は、ぜひ参考にしてください。
方法① 用法用量を守る
GLP-1を摂取する場合、副作用の消化器症状をできるだけ抑えるため、最初は少量から始めます。一定の期間継続してから、徐々に量を増やす場合が多いです。すぐに痩せたいからといって、最初から多量に摂取してはいけません。強い吐き気や嘔吐が現れて、治療の継続が困難になる恐れがあります。
方法② 低血糖の場合は糖を摂取する
低血糖とは、血糖値が正常範囲以下に下がることで脈が速くなったり、集中力が低下したりする状態です。ひどい場合は、けいれんや昏睡状態になる恐れもあります。
低血糖の症状が出た場合は、すぐに糖分を摂りましょう。ブドウ糖や飴を摂ると血糖値が上がり、症状の緩和が期待できます。低血糖が何回も起こる場合は、早めに病院を受診しましょう。
方法③ 定期的に血液検査を行う
GLP-1を使ってダイエットをする場合、事前に血液検査を行うことがあります。血液検査を行うと薬剤の効果が確認でき、適切な量に調整できます。血液検査は3ヶ月ごとに行うことが一般的です。
また、血液中のすい臓や甲状腺関連ホルモンを定期的に測定すると、副作用のリスクを減らすことにも繋がります。
本当に必要か?良く考えてクリニックを受診
GLP-1の需要が高まったことで、在庫が逼迫しており、一部の製剤に関して限定出荷が生じています。糖尿病患者にGLP-1を供給できなくなる恐れもあるため、適正な使用が求められています。
GLP-1オンライン診療クリニック | ||
DMMオンラインクリニック | eLife.clinic | FIRECLINIC |
診察料 | ||
0円 | 0円 | 初診料0円** ※自由診療 |
GLP-1リベルサス(3mg)/30錠 | ||
8,580円* 1ヶ月毎(税込) |
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11,000円*** 1ヶ月分(税込) |
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**お薬の処方がない場合は診察料がかかります。
***初回限定
まとめ
この記事では、GLP-1の危険性や副作用について紹介しました。GLP-1は世界で広く使われている医薬品ですが、使い方を間違えると重篤な副作用が生じるリスクがあります。GLP-1を使う際は、用法用量を守って使うようにしましょう。
【未承認医薬品に関する記述】
本記事では、国内未承認医薬品および承認医薬品の承認とは異なる目的で使用している医薬品を紹介しています。
●リベルサス 一般名:セマグルチド (遺伝子組換え)
【未承認医薬品等】 2型糖尿病の治療薬として厚生労働省に承認されていますが、肥満治療目的の処方については、国内では効能・効果への承認が下りていません。【国内の承認医薬品等の有無 】 国内で「肥満治療」の効能・効果で承認されている、GLP-1製剤はありません。【諸外国の安全等の情報】 リベルサスと同じ有効成分「セマグルチド」による抗肥満薬「ウゴービ」は、FDA(アメリカ食品医薬品局)、EMA(ヨーロッパ医薬品庁)などで抗肥満薬として承認されています。ただし、リベルサスは諸外国でも承認されていないため重大なリスクが明らかになっていない場合があります。急性膵炎、低血糖症状(冷や汗、気持ち悪くなる、手足の震え、ふらつく、脱力感)、嘔吐、腹痛、下痢、便秘といった副作用があります。【入手経路等】 多くの場合、クリニックの個人輸入です。 |
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