コラム

幹細胞、幹細胞順化培養液、幹細胞培養上清液の違いについて理解していますか?

現在、巷には、医療や美容の領域で様々な「幹細胞」関連の製品や商品が出回っています。「幹細胞」と付くものはどれも同じと思ってすぐに飛びつくのではなく、それが何なのか、正しく理解したうえで、施術や商品の購入を検討するべきです。

今回はよく誤解されがちなポイントとして、幹細胞、幹細胞培養液(順化培養液)、幹細胞培養上清液について解説したいと思います。

幹細胞とは?

まず、幹細胞についてです。幹細胞とは、新しい細胞を生み出して補充する能力を持った細胞のことです。幹細胞と呼ばれるには、次の二つの能力が不可欠です。一つは、皮膚、赤血球、血小板など、わたしたちのからだをつくるさまざまな細胞を作り出す能力(分化能)、もう一つは自分とまったく同じ能力を持った細胞に分裂することができるという能力(自己複製能)です。

幹細胞(順化)培養液とは?

続いて、幹細胞(順化)培養液についてご説明します。幹細胞培養液は、幹細胞を人工的に増やす過程で培養に利用し、幹細胞を取り除いた後に残る液体培地のことです。

日本化粧品工業連合会(事務局東京都)がまとめている「化粧品の成分表示名称リスト」によると、「ヒト幹細胞順化培養液」の定義は「ヒト幹細胞を数日間培養した後、培養物から取り出した培養液」とされています。つまり、幹細胞培養液の中には、幹細胞自体が入っているわけではありません。

幹細胞培養上清液とは?

では、最後に、幹細胞培養上清液とは何でしょうか?幹細胞培養上清液とは、幹細胞を培養する際に残った液体培地(つまり幹細胞培養液)から、さらに、不純物を取り除き、重要な成分だけを抽出した上澄み液のことを表します。通常、培養液から数%しか培養上清液は作れないとされています。

ただし、こちらも幹細胞培養液と同様に、幹細胞自体は含まれておりません。

一般的に、幹細胞(順化)培養液と幹細胞培養上清液の言葉の棲み分けとして、幹細胞(順化)培養液は、主に化粧品や美容液の成分として表示されており、幹細胞培養上清液は、アンチエイジング医療や予防医学の領域で施術に用いる成分として利用されているといえます。

また、幹細胞培養上清液には、身体のどの部位の幹細胞を利用して作った上澄み液(上清液)かによって、いくつかの種類があります。最も利用されているのが間葉系幹細胞で、その理由は、人間の脂肪、歯髄、臍帯、臍帯血などから、比較的容易に得ることが出来るからです。

どの部位の幹細胞を利用して作った幹細胞上清液かによって、少しずつ含まれる成分が異なるため、当然、もたらされる効果も多少異なってくるとされています。

幹細胞、幹細胞順化培養液、幹細胞培養上清液の違いについて理解していますか?
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