コラム

新型うつとは?

新型うつは、正式な疾患名ではありませんが、概念的な定義としては、「気分反応性を有し、職場など場面限定的なうつ症状(選択的抑制)を呈し、他の何らかの医学的疾患によるものは含まないもの」とされています。

解りやすく言えば、従来型のうつ病とは異なる病態を示す「うつ」に対して用いられるようになった概念です。

その特徴としては、休みの日は楽しそうにしているが、月曜日の朝になると起きられなくなるなど、状況依存性に抑うつ状態に陥ることや抗うつ薬が充分に奏功しないこと等が挙げられ、メンタルクリニックでも治療が難しいと判断されてしまうケースも多いと言われています。

また、これまでに提唱された新型うつの類似概念としては、
・逃避型抑うつ
・現代型うつ病
・未熟型うつ病
・ディスチミア親和型うつ病
・退却神経症
・職場不適応症
・職場結合性うつ病
等が挙げられます。

新型うつは、一部の性格傾向や気質の持ち主が、職場等でのストレスを契機に不適応を来した状態と考えられることが多いとされます。

新型うつの診断

・経済的な損得勘定ができる思考力が保たれている(有給休暇を計算しながら長く休もうとする)
・他者配慮に欠ける(あまり抵抗なくすぐ休む、迷惑をかけても気にしない)
・対人関係トラブルがうつの原因となっている
・他責傾向がある
・仕事を怠けているように見えるときがある(趣味は楽しめている、やりたい仕事しかやらない、休み時間は元気など)

上記の5項目のうち、2つ以上で新型うつに該当すると定義
中野(2014)

新型うつを来す人の特徴

1若い人に多い
2こだわりがあり、負けず嫌いで自己中心的に見える
3自分の好きな活動の時は元気になる
4仕事や勉強になると調子が悪くなる
5うつで休むことにあまり抵抗がなく、逆に利用する傾向
6症状として疲労感や不調感を訴えることが多い
7自責感に乏しく他罰的で会社や上司・同僚などのせいにしがち
8不安障害(パニック障害、社会不安障害、強迫性障害など)を合併することが多い
はく田(2009)

倉成(2010)は上記に加えて、
9本人が自らメンタル不調であると受診、診断書を求める傾向がある
10衝動的な自殺願望
11規則や納期などに強いストレスを感じる
12やるべきことに対する回避傾向がある
13投薬治療や休養ではあまり効果が出ず慢性化することが多い
14自分を第一に考え行動する

などと特徴付けています。

新型うつとは?
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