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コラム

日本の保険制度の弊害

日本には国民皆保険制度という素晴らしい制度があります。少ない保険料で、すべての国民が公的医療保険に加入しています。その負担割合は年齢や収入等で差がありますが、多くの方は3割〜2割の負担で医療を受けることができます。

多くの人が安価で薬を手に入れることができる日本。誰もが医療の恩恵を受けやすくなる反面、何かあると簡単に病院へ行って薬を貰えば良いという意識が醸造され、それが常識化、状態化してしまうという危惧があります。

日本は、とにかく薬がもらいやすい環境が整っています。患者さんの金銭的な負担が少ないので、医療者側も罪悪感なく、保険でどんどんと薬を出しまくる。「あれも必要、これも必要」、「この薬を飲むとこの副作用が出るからこっちの薬も飲んだほうが良い」、それらは全て税金から支払われています。

2000年度に給付された医療費全体の金額は25兆円程度でした。それが2012年度の段階では約35兆円と年間10兆円も増えています。2025年度の予想は、1.5倍の約50兆円にもなると予想されています。精神医療分野の急成長が社会保険の高騰の一因ですが、これは精神科医療に限った話ではなく、日本の医療全体に関わる問題です。

何か身体のことで不調や問題が生じると、深く考えずに、手っ取り早く薬で解決しようとする文化が、医師にも患者にも根付いてしまっている現状があります。

日本では、「症状が出て困ったらまた病院行って診てもらえばいいや」、「また薬を貰えば良いや」という意識があるため、普段から自己管理の精神で病気を予防しようとか、不調を上手くコントロールしようというセルフメディケーションの意識が希薄なのではないかと感じます。

医師として、症状を抑え込むための薬を配るだけではなく、予防やセルフメディケーションを促すことが非常に大切な仕事であると感じています。

日本の保険制度の弊害
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